台風前の槍ヶ岳踏破 |
2014.8.7〜8.8 槍ヶ岳(新穂高温泉→槍平小屋→槍ヶ岳) |
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1年前から後輩と約束していた念願の「槍ヶ岳踏破」。 やっとその日が来ました。 実は、1週間前に行くスケジュールを組んでいたのですが、私の仕事の都合で日程を先送りしてもらい、2日半の夏休みをなんとか取得して、万全の体制をしいていました・・・が、8月に入ってからというもの、記録的な悪天候が続き、毎日天気予報とにらめっこ。予定日は何とか台風12号と11号が直撃する狭間の日で、なんとかなりそう、ということで、危険と隣り合わせの日程スケジュールでした。 水曜の午後に自宅(島根県出雲市)を出発。翌朝、岐阜県高山市で後輩を拾い、登山口がある新穂高温泉へ。出発直後に私のカメラが壊れれしまい、予備のカメラを取りに車まで戻ったりしてバタバタしているうちに、登山開始予定時刻を大幅にオーバー ネットの情報から、健脚者なら6時間ほどで槍ヶ岳のふもとの山荘まで行けるらしいので、7時間のコースタイムを設定していたが、後輩いわく、「10時間くらいかかると思いますよ」。10時間後は、午後7時前。えー!うそぉ とにかく、順調に登り始めたのですが、やはり後輩の予想が正しかったらしく、途中で疲れてペースが鈍り始めたこともあり、宿泊先を、槍ヶ岳の真下の槍ヶ岳山荘(山頂まで15分の位置)から中間地点の槍平小屋に急きょ変更 「天候もよくないし、今日はここに泊まって、明日はそのまま下山します」と後輩。自分も登頂を断念しかけたが、体調と天候と相談し、翌日3時起床で、午前中に登頂し、午後の早目に下山することに決定。 夜は熟睡したおかげで、翌朝、タイマーのアラームにも気づかず、後輩に起こされる。 3時半、ヘッドライトを点けて、いざ登山再開! 途中で雨が降り出してきたので。レインウェアを着る。ここで、後輩は、体調と相談し、小屋に引き返すとに・・・ それからは、真っ暗な闇の中をたった一人の行軍。途中、ルートを外れ、長らく気づかず、1時間近くをロス(山旅ロガーというスマホのGPS位置トレースソフトがなければ、迷って遭難していたかも・・・) 終始、雨と霧の中を、約4時間かけて、槍ヶ岳山荘に到着。 山荘前から槍ヶ岳頂上は眼前に見えるはずだが、霧の中で全く何も見えない。山荘では人で混雑していたが、頂上への道に足を踏み入れる人は誰もいない。しばらく考えた結果、雨と霧は止みそうにないが、風がそんなに吹いていなかったので、行けるところまで行って引き返そうと思い、登頂を決断。 山荘の方やベテランクライマーに注意されるのではないかと内心ドキドキしながら登り始めた。行く手は視界10mほどで、先の状態がわからないが、案外危ない場面もなく、なんと10分程度で最終ハシゴ下まで来てしまう。この間、誰にも合わず・・いや、一組の30代のカップル(夫婦?)に出逢った。彼らは私の先を行っていたわけだが、女性がしり込みしていて、男性がエスコートしていた。軽く挨拶をかわし、私は彼らの脇を通って先に行かせてもらった。 心細くなりながらも、最後のハシゴに手を掛け、スルスルと1分程度で頂上へ! 頂上に1歩踏み出した瞬間、ふと、アポロで月面着陸したアームストロング船長の言葉を思い出した。 「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ!」 なんと大げさな(笑) でも、周囲360度が全く霧の中で、頂上の岩場だけがポツンと浮いている情景を目にすると、そういう気持ちになっていた。 しばらくすると、追い抜いたあのカップルも登頂し、ついでに男性に記念写真を撮ってもらった。 山荘前のデッキで、湯を沸かしてコーヒーを燻らし、カロリーメイトでエネルギー補給後、槍ヶ岳の山容を確認できないまま、いざ下山。ゆっくり下りたつもりだったが、なんと、2時間と少しで槍平山荘に到着。 すでに後輩は下山したとのこと。大雨の降る中、テントの中で、しばし休憩。昼食の用意をしようと雨が止むのを待ったが、一向におさまってくれず、昼食は断念。頂上から下りた時間を考えると、登りは6時間かかった麓までは、下りは3時間くらいで着くだろうという甘い考えもあって、テントを畳み、山荘に先の状況を確認した後、昼食抜きで下山開始。 それが甘かった。こんなに道のりは長かったのかと思うほど、GPSで現在地を確認しても、なかなか距離が進んでいない。連日の雨で、沢の水量も上がり、爆音が聞こえる中、途中の沢を渡る道は大丈夫だろうかと心配になりながら、薄暗い中、知れ違う人もなく、ソロ下山をとても寂しさを覚える。 そしてやっぱりきました空腹によるパワーダウン。後輩が下で待っているはずなので、一刻も早く下りなければと焦るが、疲労困憊で歩みのスピードは落ちる一方。仕方なく途中の山道の岩の上にザックを降ろし、ドロドロの手でバーナーに点火して湯を沸かし、即席のカルボナーラパスタを調理。これが旨いのなんのって。「砂漠の中の一滴の水」の心境に浸るのでした。 食事がすむと、鼻歌が出るほどのエネルギー全快(笑) さっさとおり始めたが、今度はエネルギーを持て余して、今回初のズッコケ! こけ方が良かったので、大事に至らなかったけど、人が見ていたらと思うと、とてもぶざまなこけ方でした(^^ゞ 日が暮れた頃にようやく出発地(新穂高温泉)の駐車場に到着。やっと電話も通じ、急いで後輩が予約しているペンションへ ペンションですぐに風呂に入らせてもらい、そして夕食。この夕食がとても凝っていて、特に地元の山菜を使った様々な料理が最高でした。 翌日、台風11号がもうすぐ上陸することを聞き、朝食後すぐに帰路へ 大阪の後輩の家で、奥さんを交えて少し談笑し、午後4時ごろ、いざ帰路へ! 自宅に着いたのは、午後8時過ぎ。すでに台風は四国に上陸し、近畿へ向かっていました。 翌日は、昨日まで滞在していた中部地方の大雨被害のニュースを見ながら、テント、ザック、ウェア、シューズの大洗濯。 本当に危機一髪の日程でした。 個人的には良かったけど、一歩間違えば、職場に多大な迷惑をかけることになったと思うと、少し反省しています。(おっと、私の身を案じて心配していた(はずの)家族に対しても・・・) |
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8/6 16:30 いざ出発! (山陰自動車道 米子付近にて) |
途中、高山で後輩を拾い、 7:00 無事に登山口がある新穂高温泉駐車場に到着 |
登山口脇の観光案内所兼登山指導センター |
登山開始時は、工事車両も通行する林道を進む |
13:30 槍平小屋に到着 早速テントを設営し、一服・・・ (予定では、一気に槍ヶ岳直下の槍ヶ岳山荘まで登り、そこで宿泊する予定だったが、出発が遅れたのと、コースタイムを見誤ったのとで、中腹のこの小屋で泊まることに) |
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槍平小屋の玄関前で一写 |
奥の本来のテントサイトがあるが、ヘリが発着するので小屋前の木製テラスにテント設営するよう、宿主に指示された。(しかし、ここにテント張ってるやんけ) |
翌日3:00過ぎに槍へ向け登山開始。 間もなく雨が降り出し、後輩は体力に不安を感じ、小屋へ引き返す。 その後、暗い中をソロでひたすら登り続けたが、コースを外れ、大喰沢へ 写真は、それに気づき、引き返す前(4:20頃) |
5:33 2400m地点を通過 |
明けてきたが、霧が強く、視界悪し |
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途中、この高山植物が、槍平を埋め尽くしていた。(天気がよければ、さぞかし綺麗だったろう) |
6:12 千丈沢乗越と飛騨乗越の分岐点に到達 親切にも救急セットの入った箱が用意されていた。 セオリーどおりの飛騨乗越へと進む |
7:00 森林限界に到達 勾配がきつくなる。 |
高山植物がふと疲れを癒す。 |
7:15 後ろを振り返ると、下界は雲が切れかけて、山容が見えだした。 |
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上高地からのコースと違って、雪渓は少ない |
8:09 標高3000mに到達 |
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可憐・・ |
8:15 飛騨乗越に到達! 槍まであと少し・・・ |
ザックの上にスマホを置いて、セルフタイマーでなんとか記念撮影 |
8:50 槍ヶ岳山荘に到着 |
9:00 山荘から槍の頂上へと続く出発点 混まなければ15分ほどで登ることができる。 今日は、誰も登っている姿が見えないが・・ いざ挑戦!!! |
最後のハシゴ 登り用と下り用に分かれている。 これを登りきると山頂 |
9:12 頂上到達! 全く人に合わなかったため、10分程度で登り切った。 登ってきたハシゴを見下ろす。 |
9:17 直後に登ってきた若夫婦さんに写真を撮ってもらう(^^)v その後、すぐに退散(頂上滞在時間は約6分) |
12時過ぎ 槍平小屋に到着 テントの中で、なりふり構わず脱ぎ捨て、小休止 そして、土砂降りの中、テントを畳み、14時過ぎに下山開始。 (雨のため、バーナーが出せず、昼食を抜いたのが、後々で疲労困憊の原因となる) |
19:15に駐車場に戻ってきた。 写真は、翌朝のペンション山の湯で、先に下りていた後輩と |
今回の行程(GPS記録より) |