トップへ   大山(キリン峠ー槍ケ峰) メールはこちら

2014.9.15 鳥取県大山(文珠堂→キリン峠→槍ケ峰)

 この登山の前日に後輩から「明日、槍ヶ岳に登頂する」という電話があり、前月に北アルプス槍ヶ岳に登ったときのことを思い出した。そのときは、登頂はしたものの、悪天候のために、一度も槍の全容を見ることができなかった。
 その惜しさから、また、後輩が念願の槍に登るという羨ましさから、今回の大山登山を決意したのである。

 「決意?」
 初心者も子供も老人も登る大山ごときに「決意」だと、大袈裟なことを書いたが、実は、大袈裟ではない。
 私が決意した登山ルートは、誰もが登る「夏山登山道」でも、中上級者が登る「ユートピアルート」でもなく、一般的には認められていない隠れたルートであり、地図上も、コースが途中で消えているもの。
 南壁から頂上を目指すルートだが、昔は道標のあり、道も存在したが、今では一部の限られた登山マニアしか足を踏み入れないため、道が消え、藪の中をかき分け進む箇所も多々ある。

 さて、当日の朝を迎えた。
 さっさと用意をして、早朝からアタックしたかったが、家事に手をとられて出発が遅れ、登山道入口に到着したのが11時。
 距離のあるコースではなかったので、そんなに気にしてはなかったのだが、昼前から登るなんて、登山者失格である。午後になると、下界の天候が安定していても、森林限界を超える山頂付近では、急激に天候が変化する。

 ということで、10時47分に登山開始。
 順調に進み、スマホのGPSソフトのおかげで、わかりにくいルートも、迷うことなく(実は、ほんの少し離脱したが)、大山の三大危険地帯といわれるキリン峠も、それほど危険を感じることなくクリアし、第2目的の槍ケ峰に登頂
 時間があれば、その先、天狗ケ峰から大山最高峰である剣ヶ峰にまで足を延ばしたかったが、安全を考え、ぐっとこらえて引き返すことにした。
 尾根伝いの急峻な道を引き返すより、沢(三の沢)に下りて沢伝いを下りる方が安全だと考え、槍ケ峰の真下から沢へ通ずる谷を下る。ほどなく三の沢に出て、ひたすら岩のゴロゴロした沢を下り、途中でコーヒータイム。そして、下流にさしかかったところで砂防ダムの連続が待ち構えているので、横道にそれて、樹林帯を進む。しかし、この道に手こずった。なんせ、道がない。野生動物のように、ジャングルの中を掻き分け下りる。方向を見失わないようにGPSで確認しながら藪や枝と格闘し、環状道路が見えた時は、どんなに安堵したことか。
 駐車場に戻った時は、18時を過ぎていた。
 車に乗り、帰路に向かうと、もう周囲はライトがないと進めないような暗さに・・・
 下山が30分遅ければ、暗闇の中を進まなければならなかった。ちょっとアクシデントでも重なれば、ビバークの可能性もあったことを考えると・・・(まあ、ビバークもいい経験か)

 今回は、とても良い経験になった。ひょっとしたら、去年(涸沢・北穂高)、今年(槍ヶ岳)といった北アルプスよりも内容が濃かったかも。少なくとも、あの荒々しい南壁と、風化の進んだ尾根は、大キレットなどの難所にも匹敵する。
 我がホームグラウンド、大山も捨てたもんじゃないね

 しかし、登山禁止のルートばかりのため、しっかりとした安全感覚を持って、無理せず途中で撤退する余裕がなければ、迷惑な登山者になるだけ。それは、肝に銘じた上で、責任を持って登山を楽しまなければ

 文珠堂登山口(10:49)→文珠越(11:45)→鳥越峠(12:35)→キリン峠(14:10)→槍ケ峰(14:35)
 →三の沢経由で下山(18:10)


これから登る大山
天候は、まずまず


10:49 登山道入り口

入口の標識

崩落のため、烏ケ山へは登山禁止を書いてあるが、大山頂上方向へのコメントはない(もともと登山コースではないから)

当分は、爽やかな樹林帯が続く

途中、こんな心遣いが


11:45 文珠越

文珠越の標識下で


文珠越を過ぎた直後の分岐点で、誤って下りのルートを行ってしまう(往復16分のロス)

12:35 鳥越峠


13:9 鳥越峠からキリン峠への中間地点
支柱ポール発見(以前は案内版があったものと思われる)
急に大山南壁が姿を現す!!

これから登る槍ケ峰を望む
絶壁の尾根に気が引き締まる

14:10 キリン峠と思われる地点に到着
ここも支柱のみで、案内板は消失していた

支柱の側面に銘板が...
「故 青木一氏 三十四歳 の霊を慰め、登山者の安全を祈願し、ここにケルンを建設す。 昭和四十一年九月二十三日 遺族、岳友 玉野山の会」
と刻まれてあった。


来た道を振り返る。
遠くに見える山は、烏ケ山


14:35 槍ケ峰に登頂!
急に霧が立ち込めてきた・・・


 狭い頂上で、記念撮影

頂上で、至福の一杯
(しかし、濃くなる霧に胸騒ぎが)

若干、時間があったので、もう少し先(天狗ケ峰から大山頂上(剣ヶ峰))へ進むことを決断
しかし、視界が悪い中、道を誤り、槍ケ峰周辺を廻っていた...

槍ケ峰に戻り、本来進むべきだった大山頂上を見る(左:剣ヶ峰、右:天狗ケ峰)


天狗ケ峰へ続く道
進みたい・・・が、時間がなく断念することに


下山は、見晴らしのいい三の沢を降りることにした
写真は、少し下りた場所から振り返ったもの


三の沢を進み、砂防ダムが連なる場所まで下りてきた(しかし、ここからが難所で、砂防ダムは落差があって越えられないため、脇道が付いている(はず)。しかし、ほとんど道が消失しており、シカやクマのように、木々を掻き分け進むことに・・・)

18:00 マイカー発見、ようやく終点
このあと20分ほどで一気に暗くなった。
結果的に下山時刻の判断は正解だった。


今回の登山ルート