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生きているだけで幸せ 送信日時  2011/03/14 22:55
東日本大震災が発生し、各地で甚大な被害が出ている。
テレビで見る被災地は、まるで、父母達が経験した太平洋戦争のような光景だ。
続々と出てくる被害者が撮影した映像や証言を聞くと、身につまされる思いだ。

さっき、テレビで、初老の婦人が涙ながらにこんなことを言っていた。
「高台から公立病院の方を見ていると、津波で病院からベッドごと放り出された人がいて、ベッドに横たわったまま、波にもまれたかと思うと、今度は引き波に戻され、そのうち、渦の中に消えていった」と
「渦の中に消えるまで、しっかりと目が開いていた」とも言っていた。
救助された病院職員の話では、津波が来れば、3階以上に移動することとされていたが、一気に4階まで津波が達し、どうすることもできなかったと。
入院患者の3分の2が犠牲になったらしい。
こんな現実を目の当たりにすると、無念でたまらない。

原爆被災や特攻隊などの戦争の惨状をよく聞くが、この現代に、当時の戦争のような惨状が繰り広げられるとは、思いもしなかった。
そのうち、この平和な日本も昔の戦争のような信じられない殺し合いの時代が来るのかもしれない。
遠い昔の出来事だと思っているあの恐ろしい戦争も、人類の歴史の中では、つい一瞬前のこと。

村瀬明道という有名な尼僧がいる。
最近テレビにも出演されていたことがあるので、知っているかもしれないが、お父さんは、この人の生い立ちや説法の数々に心を打たれた。
村瀬明道さんのことは、別の機会に改めて話をしようと思うが、彼女の言葉に「人の世に五体満足以上に幸せなものはない」という名言がある。
本当にそう思う。健康で普通に生きていけるだけで、それはすごく幸せなこと。
実際、地球の裏側では、テロや戦争で殺し合ったり、飢餓に苦しんで死んでいく人たちが星の数ほど存在する。
そういう人たちは、ただ「生きる」ことだけで幸せであり、そのためだけに人生を頑張っている。

ところが、私たち日本人はどうだろう。
ここ日本では、どう転んでも、彼らのような無念な死に方をすることは、まずない。
生きているだけで十分幸せであるはずなのに、それなのに、私たちは、「死ぬほど不幸だ」と思い、本当に自殺する人もいる。
人間の幸せの感じ方は相対的なものだと思ってきたが、最近、お父さんは、このような感情を持つこと自体が、人を不幸にすると思うようになった。
人間の幸せの尺度は、人生の長さや、金銭や物質の多さや、便利さではないと思う。
心の豊かさが幸せの根源だと思う。

「五体満足だけで幸せ」「生きているだけで幸せ」そう思えるようになりたい。
そのような境地に達することができたなら、本当の幸せを掴むことができるのだと思う。

震災の情景を見ながら、そういうことを強く感じた。