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9.11に想う 送信日時  2011/09/26 22:52
9月11日に、アメリカ同時多発テロの発生から10年を迎え、世界中で様々なドキュメント番組が放送された。

思えばテロの当日、お父さんは、NHK総合テレビでその放送を見ていた。
それは夜11時頃だった。
世界貿易センタービルに2機目の旅客機が突っ込む映像を見たとき、しばらくの間は1機目の録画映像だと思っていた。
しかし、アナウンサーの「今、2機目が突っ込んだように見えましたが」という問い掛けに、それがリアルタイムで起こっている生々しい出来事だということを実感し、とても驚愕したのを今でも鮮明に覚えている。
引き続いて起こるビルの崩落やアメリカ国防総省への旅客機の突入。とても現実とは思えない映像が繰り返された。

この事件の直後、ブッシュ前大統領は、「米国と共にあるか、それともテロリストと一緒になるか」と国民に問い掛け、奮い立たせた。
かっこよく素晴らしい演説だと錯覚してしまうが、とても短絡的な考え方で、恐ろしい結果を導く危険性があった。

以来、アメリカはテロ撲滅という大義名分を掲げ、軍事費を増強しながら、テロ組織の拠点となっているイラク、アフガニスタン、パキスタンへと、侵攻を続けてきた。

同時多発テロでの死者数は、約3000人だった。
しかし、その後にアメリカが行った対テロ戦争で失われた民間人の数は、イラクで12万5000人、アフガニスタンでは1万1700人、パキスタンでも3万5600人にのぼった。

はたして、アメリカの決断と行動は、世界平和に寄与したのだろうか。
アメリカの行動がなければ、世界はテロ攻撃に苛まれ、甚大な被害が続発していたのだろうか。

5月には、アルカイダの首謀者ビンラディンが殺害された。
テロを指揮した主犯人とされているが、彼がテロを主導するようになったきっかけは、アメリカ軍が「イスラムの聖地」と呼ばれるサウジアラビアに駐留したからだった。
聖地を守るべく、彼はジハード(聖戦)と呼んで、テロを正当化させていった。

ビンラディンはいなくなったが、テロ組織はなくならないだろう。
人々の心に「差別」「優位」の感情がはびこる限り、テロも戦争も衰えることはない。

いつまでも続くテロに対してとるべき道は、強圧的な封じ込めではない。
一人でも多くの人が、テロの根源が差別や貧困であるということを認識し、それを根本から解決する取組みを始めることだと思う。